~異世界~
何処に飛ばされても、最後は生まれたところに帰りたいと思う。
――※――
スーパー。
スーパといえば、『キャプテン・スーパー・マーケット』ですね。当たり前です。
そんなわけで、キャプテン置いてけぼりで普通のスーパーに行きました。
間違っても、動くフレッシュ肉の見本市みたいなところではなく、ごく普通のスーパーに。
いつも深夜1時まで営業して、終わり近くには30~50%オフのお総菜などがあるので重宝しています、はい。
……で、自動ドアをくぐり、カゴを持ったところで警備員さんから『いらっしゃいませ』の出迎えのお言葉を受ける。ここまでが、いつもの1セット。
そこから先は筋書きもなく、野菜か魚か肉か……とその日の気分で移動開始するわけです。
ちなみにその日は、野菜コーナーから。
きゅうりのばら売り1本36円が高いか安いか判断つかず、微妙なそり具合の一品を片手にしばし考えていましたところ。
「きゅうりね……」
そんな声が漏れてきました。……真後ろから。
え、なにこのオカルトサプライズ?
人妻チックなおねだり声とかじゃなくて、妙齢の♂ボイス。
別の意味で背筋がゾクゾク……いえ、ゾワゾワですわ、奥様。
振り返ったら人生変わるかもしれないビッグチャンスなんて、こんな場面で使いたくありません。
ここはひとつ、『聞こえない、知らない、小麦粉か何かだ』コースで堪え忍ぼうと思い、お地蔵さんに。
……と、後ろの気配がスーッと横移動し、「きゅうりもいいけど……」の追加ワードで、ほうれん草のコーナーへフェイドアウト。
┠ω-) いいけどなんだよ! 気になるじゃん!
はっ、待て待て。これこそが罠!!
こちらが問い詰めたい気分満載の視線で追いかけようものなら、見透かしたかのように振り返り、ロックオンする気だ!
┠ω-) ワシ、地蔵。お供え物のきゅうりだけがお友達。
いやいや。きゅうりは畑からもいだ瞬間から、『食べ物以外の何者でもない』から。
友達ちゃうねん。
そんなわけで凝固しながらも、あやしい声の主の行動が気になり、横目でちらり、ちらり。
するとその♂、各コーナーで『●●ね……でも……』とか、めっちゃ呟いている。
ついでに見えたのは、両耳に刺さったイヤホンコード。微妙に音楽も漏れ漏れ。
┠ω-) 独り言かよ!
どうやら彼は周囲の環境とは無縁に『自分だけの世界』を生きているようです。
┠ω-) おどかしやがって! ドキドキなんかしてないからな!
まったくはた迷惑だ……と思いつつ、魚コーナーを目指して移動開始する自分。
……と、今度は――
「☆●$#▲◇……ohoh! ぃぇーぃ、fu-wa fu-wa」 ※イメージ
さっきの♂とは別人が、首からi-podで超ノリノリ発声プレイ中。
┠ω・) なに、ここ、どこ、ここ? キャプテン呼んで一掃してーぇ!
その手にした豆腐は買うんですか、買わないんですか……と見守っていたら、ちょっとだけ視線が交差。
自分は無関心を装い、お菓子コーナーへ逃亡です。
┠ω-) まったく。どうしてみんな内なる声を出すのさ。
客が少ない時間帯のスーパーとはいえ、各コーナーに2人ぐらいは居るんだから。
もう少しこう、自分を抑えよう。ここは、外。外なんですよ、皆さん。
人間、無意識に思考を呟くようになったら要注意ですからね!
誰かと正面向き合って、会話しましょう!
思考を停止させた会話はダメだからね!
そんなことを考えながら、ふとお菓子の棚を見ていたら――
「……麩菓子か」
またまた漏れる声が、自分の耳に!
今度は誰!? どこのどいつ!?
↓
→ ┠ω-) ←
↑
みなさん。
くれぐれも独り言を口にするときは、周囲に人が居ないことを確かめてからにしてください。
……なお、失意の自分はしばらく海へ還ろうと思います。ざぶん。
おわり
[次回予告]
キャラクター紹介も次回でラスト。登場予定は……妖精です。