~ コイントス ~
十円玉の表は平等院鳳凰堂で、裏が10です。
百円玉の表はサクラの花で、裏が100です。
五円玉の表は『五円』で、裏が年号です。
――※――
はい、みなさま。アホの子が寂しさのあまり、ちょっと知ったかしてみました。
なにが寂しいのかと言いますと。
買ったばかりで一口も食べてないおにぎりを落とした……とか、そんな昔のことではなく!
群像劇の『表』に続いて『裏』のシーンを書いていたら、思いのほか十丸が哀れになってしまったからです。
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【十丸の視点】

「……すみませーん。アイス・オ・レを1つお願いします」
前回きたときは、紀野がすべて勘定持ち。
おごられるのも悪くないが、どちらかと言えばおごる方が気持ちいい。
(――まぁ、今日はひとりだから、誰におごるとかないけど)
転入から今日まで、かれこれ10日ぐらい。
昼間はなんだかんだと、紀野なり深見センセイが近くに居て、自分ひとりの時間が少なかったような気がする。
(――いまからオレは、誰も知らない調査局員の顔に)
内世界入りをし、秘密の潜入活動を始める常盤十丸!
子どもじみてるけど、たまにはそんな妄想でもして――
「こんにちは。失礼ですけど、トキワくん……ですよね?」
……みようとしたら、急に呼びかけられてビックリ。
「は、はい。そうですけど……」
振り返ってみれば、そこにはジャージにメガネ、それに……ツッカケ履きで、『寝起きにそのまま、近くのコンビニまで 来てみました』的な男の人が立っていた。
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ここまでが十丸の視点。
これが八代の視点になると……
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【八代の視点】

(――あれは……)
ありがたいことに、ターゲットである『彼』がやってきた。
(――名前は、トオマルくん)
そして、さらにラッキーなのは……『彼だけ』だということ。
最悪、トイレでひとりになるところを狙う予定だったので、 これは嬉しい誤算となる。
(――それにしても、やけに嬉しそうな顔をしているな)
何かいいことでもあったのだろうか?
とにかく、話しかけて色々聞き出すのにはベストな状況が整っているとみて間違いない。
「……すみませーん。アイス・オ・レを1つお願いします」
水曜日からずっと張り込んで、やっと本日……接触に成功。
向こうに顔を憶えられていることはないはず。
(――自然にいこう、自然に)
普段通りの自分で話しかければ、それでいいのだ。
僕はゆっくりと席を立ち上がり、
「こんにちは。失礼ですけど、トキワくん……ですよね?」
できるだけ丁寧な口調で声をかけてみる。
「は、はい。そうですけど……」
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……こんな感じです、はい。
気をつけて、十丸くん! あなた、狙われてます。<色々な意味で